まくら

読んだ本や好きな文章の感想

評論・随筆

2024年度共通テスト国語の評論を好きに解説する

※ほぼ同じ内容の記事をnoteにも上げています 実は国語の文章問題(高校生向け)を作っていたことがある。せっかくなので作問者目線で共通テストを解説してみる。 全体的な感想 問1 問2 問題を解く際、どこまで読めばいいか 問3 誤答解説 問4 誤答解説 問5 問…

中村文則と又吉直樹――『何もかも憂鬱な夜に』『夜を乗り越える』

私は中村文則の『何もかも憂鬱な夜に』という小説を崇拝しているんですが、又吉直樹がその本の感想を『夜を乗り越える』って本の中で書いてて、それ読むと私が『何もかも憂鬱な夜に』読んで思ったことがほとんどそのまま書いてあった。私が書き添えること、…

島尾敏雄『死の棘』読んだ(『男流文学論』③)

『死の棘』やっと読み終わった。会社の始業前と昼休みに毎日ちょっとずつ読んでたんだけどそのたびに気が滅入った。夫の浮気が原因で発狂した妻と、その妻と抱き合いながらぬかるみの中を滑り落ちていくようにして自身も狂っていく夫の話。 (今週のお題「最…

上野千鶴子・小倉千加子・富岡多惠子『男流文学論』(2)――吉行淳之介『砂の上の植物群』

(1)はこちら。 吉行淳之介『砂の上の植物群』を読みました。 吉行淳之介の小説を読んだのはこれが初めてです。 砂の上の植物群(新潮文庫)【電子書籍】[ 吉行淳之介 ]価格: 539 円楽天で詳細を見る 『砂の上の植物群』では、亡き父の影に囚われている三十七…

上野千鶴子・小倉千加子・富岡多惠子『男流文学論』(1)――村上春樹『ノルウェイの森』

『男流文学論』、めちゃくちゃおもしろ大当たり本でした。 著名で評価も高い男性作家の文学作品に対するフェミニズム批評です。上野千鶴子(社会学者)・小倉千加子(心理学者)・富岡多惠子(作家・詩人)による鼎談形式ですね。歯に衣着せぬ物言いが痛快でキモチ…

最近読んだものや観たものの感想

もろもろ感想。ネタバレ注意 森鴎外『ヰタ・セクスアリス』(小説) 谷崎潤一郎『陰翳礼讃』(評論?) 河野多惠子『みいら採り猟奇譚』(小説) 富岡多恵子『波うつ土地』(小説) 田村由美『7SEEDS』(漫画) ジャルジャル単独ライブ「愛るしい、きみ」 久保帯人『BL…

最近読んだ本(太宰治『ヴィヨンの妻』・『京大変人講座』)

太宰治は『人間失格』「走れメロス」ぐらいしかちゃんと読んだことがなかったんですが、この前読んだ「猿ヶ島」が面白かったので短編集を買ってみました。 ヴィヨンの妻改版 (新潮文庫) [ 太宰治 ]価格: 407 円楽天で詳細を見る 率直に言うと、同族嫌悪み…

坂口安吾(1)「教祖の文学」

坂口安吾の文章、め〜〜〜〜〜〜っっっちゃ好み……。 新潮文庫の『堕落論』(評論集)、昔読んだときはウオ〜〜よくわかんねえ〜〜〜と思いながら義務感でバーッと読んだだけだった気がするけど、今改めて読んだらめちゃくちゃ面白い…… 文章がほんと簡潔。無駄…

茂木健一郎『脳と仮想』読んだ

いつから置いてあるのか、自分がそれを読んだことがあるのかどうか、マジで何もわからないけどなんか気づいたらずっと本棚にある本ってありませんか? 私は『脳と仮想』がそれだったんですがこの前ようやく読んでみました。 「クオリア」という主体的に感覚…