ホラーが読みたいな~と思い、「ホラー おすすめ」とかで調べていたら名前が挙がっていたので読んでみた。小野不由美の『屍鬼』。
記事の前半ネタバレなし、後半からネタバレあります。
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文庫だと全五巻なんですけど、一気読みしました。いや~………面白い。小野不由美って「物語」を書くのが上手すぎませんか。
ざっとあらすじを説明すると、
山奥の村、土着の信仰が今でも強く信じられているような閉鎖的な村で、人が次々と死んでいく。奇病か? それともそれ以外の原因か? 一つの村が崩壊するまでの物語。
って感じです。
形式としては「群像劇」ですね。十二国記シリーズでもそうだったけど、小野不由美は複数の視点から物語を書いて組み立てていくのが抜群に上手い。
特に『屍鬼』は過去イチ登場人物が多かった。登場人物、何人ぐらいだろう?と思って調べたら150人以上いるらしくて草。
名前を覚えるのが苦手だという自覚がある人は登場人物をメモしながら読んだ方がいいかも。語り手の視点もシームレスに切り替わるから慣れない人は最初とまどうかもしれない。
ちなみに私は登場人物の名前、というか固有名詞を覚えるのがめちゃくちゃ苦手で、『そして誰もいなくなった』の登場人物(10人)も全員覚えられなかったレベルですが、勢いでなんとかなりました。でも再読するときは登場人物メモしながら読みたいです。
小野不由美の群像劇のすごいところって、「一人ひとりに踏み込み過ぎない」ところだと思う。
これだけ人数いるから一人の人生にそんなに紙幅を割けないってのもあるんでしょうけど、その描写の深さが「ちょうどいい」んですよね。なんというか、「物語全体」の流れがまずあって、それから「物語の1ピース」として過不足ないように、それぞれの登場人物にまつわる描写(思想、感情、出来事)が本の中に配されている感じ。
登場人物の少ない純文学系の小説だったら、一人ひとりの思想をもっと掘り下げるだろうけど、『屍鬼』は「ストーリー」を見せる小説だからこれでいい。これがいい。
ステレオタイプな考えや振る舞いをする人間もまあやっぱり出てくるけど、小野不由美はそういうキャラクターをただの「悪役」としては描かない。一面的であるにせよ、本人がそう考えるに至った理由がちゃんと書かれるから、同情の余地は残るというか、まあ理解はできる。
読者から憎まれるためだけに生まれたキャラクター(と、それが出てくる作品)が嫌いなので、安心して読めますね。
ところでこの本、ホラーというより、サスペンスでした。幽霊的怖さを味わいたい人は同じ作者の『残穢』のほうがおすすめです。少なくとも洒落怖的怖さを求めて『屍鬼』を読むと「なんか違うな~」になります。
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小野不由美って、めちゃくちゃ面白いし文章が上手いのは間違いないんだけど、欠点をあえて挙げるなら「論理的に過ぎる」ところですね。それがいいところでもあるんだけど。
パーツ→パーツ→パーツ→組み立てて完成!って感じで話が進むけど、「本当に…そうかな…?」と感じることはある。その根拠はあったりなかったりだけど。推理小説を読み慣れていないからこう思うのだろうか。コナンもずっとアホの顔で読んでるし。
私はホラーで重要な要素は「わからなさ」だと思ってるので、そういう意味では、小野不由美の小説は怖くない。前半、謎がどんどん増える時間はなんだこりゃ~~どうなってるんだ~~!!??になるけど、明確に種明かしされたとたん「あ、、、そうっすか、、、、」と一瞬感じてしまうのは否めない。いやそれはそれでそうなってからも別の面白さがあるんですけどね。言い換えれば1粒で2度おいしい。
「わからなさ」があって怖い小説、という観点だと、十二国記シリーズを読む前に読む『魔性の子』が一番かな。
これに関してはマジでこの本を読み終わっても「わからない」からね。十二国記シリーズを読み進めて初めてわかる。小野不由美ってスゲ~
以下、既読者向け感想です(ネタバレあり)。これから読む予定のある人は読まない方がいいです
静信の気持ちが最後までよくわからなかったな……なぜ静信は自分のことをあんなに「異端者だ」と思ったのだろう。
静信の小説がど~にも読みづらくて、読んでも読んでも目が滑って後半は半分読み飛ばしてたせいだろうか……。敏夫の心理や行動にはすごく共感できたけど。静信はどうして村のことを憎む?
「弟殺し」が何の象徴なのか、それすらもわからなかった。再読時は理解できるようちゃんと読もう。それとも、文庫版の解説で宮部みゆきが言っていたが、この作品はスティーヴン・キングの『呪われた町』のオマージュらしいので、そっちを読むのが先か?
ともあれ、終盤の人間たちの逆襲は見ものだった。特に千鶴を神社に引き出すシーン。小野不由美はこういう逆襲劇というか、かなりの劣勢を怒涛の勢いで覆す展開をよく書くね。読んでいる側としては気分がいいけど、今回は十二国記みたいには正義の側が明確になっていないから、「スカッとするけど……スカッとしちゃダメなんだろうな……」と思いながら読んだ。終盤、明らかに沙子への同情を誘うように書かれていたし。でも沙子のことがあんまり好きになれなかったからか屍鬼サイドに感情移入できなかった。(話はそれるが、小野不由美は「理知的で、見た目の年齢以上に大人びた少女」がヘキなんだろうな、と思った)
敏夫と静信の対立に象徴されるように、作品の主題としては「異なる二つの思想の対立(共存できない二つの種がぶつかることの悲劇)」なんだろうけど、やっぱり人間側に味方する気持ちで読んじゃうな~。屍鬼サイドの言うことも筋が通っていて理解はできるんだけど。なんでかな。屍鬼が行う葬儀がどうにも滑稽で不謹慎だったり、メインキャラに思われた夏野が思いのほかあっさり退場しちゃったりしたせいで、屍鬼サイドは敵だという印象が最後まで固定されちゃった感がある。
終わり方はよかったですね。未来が感じられる。こういう終わり方は美しくて、「その後」の想像も促されて好きです。あんまり意識したことなかったけど小野不由美って終わり方がきれいだよね。
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最近はYouTubeで期間限定公開された「ひぐらしのなく頃に」見てる。2回目。
やっぱり演出が上手い……原作派の人間からすると、アニメってとにかく「遅い」から見てられないのがほとんどなんだけど、「見ていられるアニメ」ってほんとに「演出」がいい気がする。具体的にどこが?って言われるとあんまり答えられないんですけど。絵の構図だろうか、会話や場面転換のテンポだろうか。