まくら

読んだ本や好きな文章の感想

“家族”を持てない人間に対する救済の物語 清水玲子『秘密―トップ・シークレット―』

 

最強のラブストーリーが、ここにあります。

 

 

時は2060年の日本……「科学警察研究所 法医第九研究室」・通称「第九」ではMRI捜査というものが行われていました。MRI捜査では、死んだ人の脳を解析することでその人が生前見た景色を再現することができます。その景色を手掛かりに故人が巻き込まれた事件の真相を解明していく、という捜査機関です。

物語は、第九に配属された新人青木が第九室長薪剛(まき つよし)の指揮下で事件に取り組んでいく、という形で展開していきます。

 

近未来設定ですが、あんまりSF感はなく生活様式やファッションなんかは現代の日本まんまですね。

 

 

↑左が薪さん、右が青木です。

で……基本的に『秘密』は一話完結型のサスペンスとヒューマンドラマが話の骨子になってるんですけど、その話たちをぶち抜く形で展開していく薪さんと青木の関係性がクソヤッッッバで……本当に……一言でいえば同性間クソデカ感情ってやつなんですが、そんな大雑把な言葉でこの二人の関係性をくくりたくない。もうね、本当に、ここでしか見られないこの二人の関係性がすご過ぎて読んだ後数日間は仕事中ずっと反芻して頭抱えてる(仕事して)

 

先に「ラブストーリー」と書きましたが、最初に言っとくと単純な恋愛(性愛)感情とかではないです。少なくとも私はそう思っています。もっとデッケェデッケェ「愛」……なんっすよね……

以下、ネタバレをかなり含む感想と自問自答です。『秘密』の続編『秘密season0』への言及もあります。

 

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薪さんはとんでもない美貌の持ち主の超絶ド有能な男で、そして部下に厳しく当たるため部下からは基本的に恐れられてるんですが、厳しさの裏側に人情も人一倍あるためなんだかんだ第九のみんなから慕われています。特に青木は崇拝と言っていいほど薪さんを妄信しています。

 

で、第九には以前薪さんの親友の鈴木という男がいたんですが、アクシデントから薪さんが鈴木を撃ち殺してしまいます。薪さんはそのときの激しい罪悪感にずっと囚われていて、そんなときに鈴木によく似た男……青木が第九にやってくる。

そう、青木はかつて薪さんがその手で殺した親友によく似ているんです。そういうわけで、青木が薪さんを信奉する一方で、薪さんも青木に屈折した感情を抱く……。

 

さらに青木には雪子先生という婚約者がいるんですが、薪さん・雪子先生・青木(鈴木)という三角(四角)関係がサスペンスと並行して展開していくんですね。

 

 

「同じような台詞を誰かに伝えるべきだとずっと思っていた」

まず私が「ドヒーーーー!!!」っつってひっくり返ったのは7巻…外務大臣の娘が誘拐される事件。そこで青木は自身で少女を救出しに行く危険な任務に就きます。

 

青木が任務に就いている一方……薪さんは顔面蒼白になりながら鈴木の姿を思い出す。自分に撃たれて胸から血を流しながら床に転がっている鈴木を……

薪さんが任務から戻った青木の部屋に向かうと、手に包帯を巻いているものの元気そうにベッドに腰かけている青木の姿が。「ああ コレーーさっき治療してもらって や!違うんです! これは救出の時にケガしたんじゃなくてっ」などと話している青木に薪さんが歩み寄り、黙ってその胸にもたれ掛かる……

いつも気高く凛々しく孤高な薪さんが、うつむいたまま震える手で青木の腕を掴む………普段の薪さんからは想像もつかないその弱弱しい姿。青木は一瞬困惑した後、優しい表情になって薪さんの背中に黙って腕を回す……沈黙のまま抱き合う上司と部下。

 

で、この後、雪子先生が部屋にやってきて薪さんは退室する。

「薪さん!……」「大丈夫ですか?」

「大丈夫だ お前はもう養生していろ」

「ちょっとまって下さい薪さん」

そう言う青木の手を避けるように薪さんは部屋を出ていく。

 

青木と雪子さんは二人でマンションに戻り、部屋でこんな言葉を交わす。

「でもよかったわ 本当に『みんな』助かって

きっとこの子のお母さんはとても心配してたのよ……

もしかしたら もしかしたら………って……」

涙を浮かべる雪子さん……青木はそんな雪子さんを抱きしめ、こう言う。

「すいません…先生……

心配させてしまって…俺は大丈夫

大丈夫ですからオレは………

………死にませんから…!

ここにいますから ずっと…

ずっと側にいますから…! 先生」

涙を流しながら青木の胸に頭を寄せる雪子さん、そして雪子さんを固く抱きしめる青木………睦まじい恋人たちの姿………

 

そこで、青木のこんなモノローグが入る。

 

あの時

 

同じような台詞を誰かに伝えるべきだとずっと思っていたのに

結局  俺の口は  最後まで何も言葉を発しなかった

 

もし今 同じ時間に戻ることが出来たとしても

あの時間が数分でなく 果てしなく長い間続いたとしても

やはりきっと 何も しゃべれないのだと思う

 

しゃべれなかった  しゃべらなかった

あの人に

伝えるべき言葉は  まだ  俺の中にないのか  わからないのか

みつけられない

 

言葉にする事が

できない

 

ドワーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

「あの時」っつうのは……青木が薪さんを抱きしめたときのことで……そしてこのモノローグの合間に、青木は雪子さんにキスをしながらベッドへ……って感じなんですね。

 

この……対比………ッ;;;;;「言葉にできてしまうこと」と「言葉にできないこと」の対比ッッッ…………………!!!!!!!!!

 

もうなんかさ……こういう形で見せられると、青木にとっての雪子さんと薪さんの「重み」の違いを感じてしまう。「ずっと側にいます」って伝えられる関係性より、何も言えず黙って抱きしめることしかできない関係性の方が……尊ッ………!!!!と思っちまう…………

古来数えきれないほど言われてきたことだろうけど、感情や思いを言葉でくくって伝えちまうことの危うさ、「切り捨ててしまう」言葉の不完全性を改めて実感させられる。

 

最果タヒのエッセイにちょうどそういうことが書いてあったので引用します。『きみの言い訳は最高の芸術』(河出書房新社)より。

 

 言葉は簡単に、すべてを簡略化して、まったく違うものにしてしまう。クラスメイトと毎日昼食を食べて、音楽の話をするようになった、それだけでよかったのに、その関係性に「親友」と名付けてしまう。それだけで、きっとなにかが失われていた。自分だけの感情や関係を、他人に伝えるため、共有するため、たった一つの不思議な形をしていたそれらを、既存の概念に押し込んで、余計なものを削り落とした。(略)

 言葉は、気持ちや事実を伝えるために生まれた道具だ。人によってちょっとずつ違うものを、簡略化して、互いに理解できる形に変える。そういう、とても大切な道具。言葉にするだけで、簡単にいろんなことが切り捨てられていく。その人だけの、ささいなこと、あいまいなことが、四捨五入みたいに消えていくんだ。(「わからないぐらいがちょうどいい」より)

感情はそれぞれ違うのに、言葉にすると単一的だ。「愛」とか「かなしい」とか「大嫌い」とか、そういうものでむりやり簡略化して、切り捨てたものがどちゃどちゃと体よりアスファルトより下に落ちて積もっていってる。そしてそれ、病気じゃなくて自然なんだよ。(「共有するための言葉」より)

 

そう……我々は「伝えたい」と思うとき、言葉を使うことに慎重にならなければならない。「たった一つの不思議な形をしていた」感情や関係が、言葉にされたとたん最大公約数的な形に押し込められてしまって、もっと大切にするべきだったものがそぎ落とされてしまうことがある。「恋」だの「愛」だの「嬉しい」だの「悲しい」だの、そういう普遍的な言葉に載せられない、そこだけにある「個別性」を大事に扱わねばらならないって………『秘密』7巻を読んで私はそう思いました……………

 

 

 

「この人のプライベートは何一つ知らなくてもいい  そんな事は全然関係ない」

8巻。青木から薪さんへのデカデカ感情がさらに露わになる、これも私がマジで好きな回……

 

青木と雪子先生の婚約祝いが「第九」のメンバーで行われることになりました。普段そういう席に顔を見せない薪さんも現れ、「雪子さんを大切に」などと祝いの言葉をもらった青木はニコニコになります。

そんな中、薪さんからメンバーにとって驚きの事実が伝えられます。

それは「いずれ今の『第九』は解体される」こと、そして「全国各地に『第九』研究室が設置され、今の『第九』メンバーはそれぞれの研究室の室長に配属される」こと。

つまり、青木はいずれ薪さんの側から離れなければならなくなるということ。

 

それを聞いた青木は持っていた栓抜きを落とし、呆然と立ちすくみます。そして帰ろうとする薪さんを呼び止め、こんなことを言う。

あの…これからも  これから先も  ずっと薪さんと一緒に仕事が出来るんですよね?…

それを聞いた薪さん、眉をひそめながら「…おまえ…今の話きいてたか?」

 

第九のメンバーも困惑する中、青木が言葉を続ける。

「ええ…ええ  だから…あの…いつかオレ達が8管区の室長になるかもしれないって…でも」「でも…この先オレがどこの『室長』になったとしても…ちゃんと薪さんと一緒に仕事ができるんですよね?」「今までと同じにずっと  ここで  『第九』で」

支離滅裂なことを言う青木。様子がおかしくなった青木に周囲もどうしたらいいかわからない表情。

青木は激高したように「オレは ずっと…!!  そう思って…」と薪さんに向かって叫ぶ。言葉を失い、悲痛な表情で青木を見る薪さん。そしてここで挟まる青木のモノローグ…

 

この人のプライベートは何一つ知らなくてもいい

 

この人がどこに住んでいてもいい

誰を好きでもいい

もし結婚していても

子供がいたとしても

 

そんな事は全然関係ない

どうでもいい

 

朝 この人が

朝  必ず「第九」にいてさえくれたら

この人の下で一緒に捜査ができたら

一緒に

同じ目的で一つのモニターを見続けられたら

 

せ・・・・・・・・・・・聖典・・・・・・・・・・・・・・・・・・?

 

この青木のモノローグ、マジでマジで好きなんですよね。なんでこんなに好きなのかわからない。「あなたのことを何一つ知らなくていいから、朝あなたがいてさえくれればいい」って言葉が……本当に……!?好きで…………

 

以前ブログで紹介した染野太郎さんの歌、「海を見に行きたかったなよろこびも怒りも捨てて君だけ連れて」で感じたものと通ずるものがある……

なんというか……人への好意を表現する際に「○○はいらないから○○だけほしい」って言うのよくあると思うんですけど、それ系の中で一番好きかも。

 

例えば家入レオ「未完成」の「例え何処で生きていたって好きだよ」、

マカロニえんぴつ「なんでもないよ、」の「会いたいとかね そばに居たいとかね 守りたいとか そんなんじゃなくて ただ僕より先に死なないでほしい」、

最果タヒ「夢やうつつ」(『死んでしまう系のぼくらに』所収)の「わたしをすきなひとが、わたしに関係のないところで、わたしのことを好きなまんまで、わたし以外のだれかにしあわせにしてもらえたらいいのに。」「愛はいらない、さみしくないよ。ただきみに、わたしのせいでまっくろな孤独とさみしさを与えたい。」など……いろいろありますが。

 

なんつうかな、、、「あなたが私のそばに居なくていいから幸せになってほしい」って感覚もよくわかるんですが、「あなたのこと何も知らなくていいから目の前にいてほしい」っていうのが私にとっては新しくて……なんかすごく刺さった……これについて割と自問自答したんですがなぜ「刺さる」のかはわからなかった。これ以上因数分解できない性癖ってやつかもしれません……

 

 

 

「あなたが好きです みんな みんな あなたが好きです」

9巻。ここから『秘密』最後の事件が始まり、青木の姉夫婦が自宅で惨殺されます。

そして自分が第九の捜査官だったせいで姉夫婦が殺されたと思った青木は、雪子さんとの婚約を解消します。

そして紆余曲折があったのち、薪さんは事件の黒幕だった第九の捜査官の一人から「頭を撃ってくれ」と懇願されます。自分が死んでしまえば脳をMRIで見られる。だけどそこには誰にも見られたくない、汚されたくない故郷の映像があるから、と。そして薪さんの前で、怪我を負っていたその捜査官は息絶えます。

捜査官の死体を前に薪さんの脳裡によみがえる、「オレの頭を撃ってくれ」という鈴木の声。「たのむ薪」「自分では撃てない」と。震える手で拳銃を握る薪さん。「もうダメだ  鈴木」というつぶやきの後、あたりに一発の銃声が響く……

 

その現場に青木が駆けつける。床に転がるのは頭を打ちぬかれた捜査官の死体。そして薪さんは青木に向かって「僕を撃て」と言う。涙を流しながら自分の心臓を指し示し、「ここを撃ってくれ」と懇願する……

そしてこの目を この脳を 僕の体から今すぐえぐり出して見ろ」「事件の秘密も 『第九』の秘密も 僕の秘密も なにもかも」と……

 

薪さんは錯乱状態のようになって青木に銃を向ける…!

青木は顔面に銃口を突き付けられながらも迷わず走り寄り、薪さんを抱きしめる……………ッ!!

そして………この言葉……………ッッ!!!

 

「秘密」なんてどうでもいいんです  薪さん

あなたが好きです

好きです  薪さん

聞こえてますか?

そんな風に

自分を追いつめないで下さい

岡部さんも 小池さんも 山本さんも 今井さんも 曽我さんも 宇野さんも みんな

みんなあなたが好きです

自分を嫌いにならないで下さい

この世の中であなただけがいつまでもご自分を嫌って憎んでいるんです

もう

どうか もう

もう そろそろ

あなたもご自分を赦してあげて下さい

 

このシーンで本当に本当に大事なのが、青木が薪さんに「あなたが好きです」と言ったあと「みんなあなたが好きです」と続けたところ。これに尽きる。

 

最初青木が「あなたが好きです」と言ったとき、私は「えっ…そうか……」って少しがっかりしてしまったんですよね。薪さんと青木のこの刃物の縁の上を歩いて渡るような際どく危うい関係性も、やっぱり「恋愛」ひいては「性愛」って言葉で片付けられてしまうのか………そうか…………と……

だから青木が「みんなあなたが好きです」と続けたとき、心の底からの「そう!!!!!!!!!!!」が出た。そう。あまりにも大正解。完全なる正規ルート。もうそれしかない、みんなみんな薪さんが好きだ。完璧な軌道修正、ありがとう。

 

そしてここ、青木の「変化」が出ているとても重要な場面でもある……

少女誘拐事件のときは薪さんを抱きしめながら何も言えなかった青木、「伝えるべき言葉が見つけられない」と黙って抱きしめることしかできなかった青木がっ……

今度こそ……薪さんを抱きしめながら………きちんと言葉を出して伝えることができたという………大きな大きな関係の変容……………ッ!!!!

 

感涙…………ッッ

 

そのようにここは薪さんを盲目的に崇拝していた青木がその妄信ゆえの隔絶を踏み越えて薪さんに着実に歩み寄ったことに大感動する場面なんですけど、薪さんの反応も見逃せない。

青木に抱きしめられた薪さんなんですが……両手を青木の背中に回そうとするように伸ばし……

でも!!!!!その手は青木の背中に回されることなく!!!!!!!薪さんは両腕を下ろし、ただされるがまま青木の抱擁を受ける………。青木が薪さんに歩み寄った一方で、薪さんの方はまだ青木に完全に心を開ききってはいないのが感じられる。

でもここで青木の背中に安易に腕を回さないのが本当に薪さんで、抱きしめられながら抱きしめ返さないというこの1ページの描写に薪さんの強さと弱さが全部詰まってる。

 

 

 

“家族”を持てない人間に対する救済の物語

そんなこんなで事件は収束するんですが、薪さんは人事異動を受けてアメリカに発つことになります。

青木が薪さんを空港まで送るんですが、その道中で薪さんが青木にこんなことを言う。

青木  おまえ結婚しろ

 

ここより前で語られていたんですが、実は薪さんは「第九」室長という特殊な立場のために、結婚することができない。「秘密」が漏洩する恐れがあるために、また青木の姉が殺されたみたいに敵から狙われる恐れがあるために、「家族」を持つことができない。そしてこれは続編のseason0で語られることなんですが、薪さんは両親もすでに他界しており、つまり天涯孤独の身

そういう薪さんが青木に伝える。「雪子さんと結婚して 『家庭』を持って…自分の子供を持て」「おまえなら出来る」と……

 

青木はこう思う。

この人は誰よりも自分が「欲している」「望んでいる」事に気がつきもしないで

「それ」を人に与えようとしている

自らを犠牲にして

いつも  いつも

 

 

そして薪さんはアメリカに発ち、それまでの「第九」は解体されます。「第九」は全国に展開され、青木は九州にある第八管区の室長となります。

青木は一度ニューヨークに視察に行った際に薪さんに会ったりもするんですが、基本的には九州で姉が遺した姪(舞ちゃんといいます)を育てながら室長として多忙な日々を送ります。

 

そんな中、青木が薪さんに手紙を書くんですが。

この手紙の内容が本当に………本当に…………これ以上ないくらいの「救済」で…………………もう読んでから本当に数えきれないくらいこの文面を反芻した。

 

「薪さんと俺は 「MRI捜査」という目指す所はたとえ同じでも

薪さんと俺は今 全然違うコースを歩んでいる

それぞれ 全く違う役割がある

 

あの時  一年前ニューヨークに行った時に痛切にそう感じました

もうあの頃のように  昔のように

薪さんと共に仕事をする機会は二度と来ないのだと

 

あの「第九」での二年間は唯一無二の時間だったのだと」

 

手紙にはこんな風に書かれます。

 

でも  だったら

薪さんが仕事を終えてから  次の日  仕事に行くまでの間

一緒にいられないかと

 

ほんの少しの時間でも  少しずつ

今まで何も知らなかった薪さんの私生活

―――好きな曲とか趣味とか  好きな本とか話をして

薪さんの事を  少しずつ知っていけないかと

 

たとえばオレが毎日  舞に話を読んであげるかわりに

舞から今日の出来事を聞くように

俺の事も薪さんに 少しずつ 知って頂けないかと

 

そういう風に

そんな風に 毎日話す相手を

 

ほんの少しの時間でも 毎日一緒にすごす人を

そういう相手を

 

俺は「家族」って いうんじゃないかと思います

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・泣いていいか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

マジで 本当に 青木のこの「家族」の解釈があまりに私が今まで思いもよらなかったもので 「家族」ってそれでいいんだ。それを「家族」って呼んでいいんだと思ったとたんメチャクチャに救われてしまった。

 

世の中にはいろんな理由で「家族」を持てない人間……結婚できない人間、子供を持てない人間、家族がいない人間がいて、でもそういう人々が意識的にでも無意識的にでも「家族」という存在に焦がれることがあって。

でも青木は教えてくれた。血縁関係や婚姻関係がなくても我々は「家族」になれることを………

 

この考えで救われる人間がいったいどれだけいる?

昨日また夜寝る前にこの手紙を反芻して枕を濡らしていた。

 

そしてここにも青木の大きな変化が見られますね。

「この人のプライベートは何一つ知らなくてもいい」「そんな事は全然関係ない  どうでもいい」って言っていた青木が、「薪さんを知る」ことを望んだ。「一方的な崇拝」から「隣を並んで歩く」ことを選んだんですよ、青木は……!

やっぱりその方が建設的で、「未来」に向かっていけているよね。崇拝するんじゃなくて支えあうこと。相手を信仰の高みに載せるんじゃなくて同じ目線で語り合うこと……………

これが「愛」じゃなくてなんだっていうんだ…………?

 

感無量です。五体投地で地に伏して感謝したい。多分今後もn回反芻してそのたび「ありがとう……ッ!」っつって泣いていると思う。強く強く救われた、今回はとにかくそれを書きたかった。

 

 

 

と…こんな感じで薪さんと青木のスーパービッグラブストーリーが『秘密』では読めまして……

続編のseason0では薪さんと鈴木のエピソードがあったり、青木と薪さんの関係性がさらに展開したりしています。そっちの話もするつもりだったんですが思いのほか字数が増えてしまったのでこのあたりで終了します。

 

 

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最近読み終わった・見終わったもの

 

こまごまとした感想はその都度ツイッターに書いてるんですが、新井英樹を最近たくさん読んでいるのでその感想はまた記事にまとめたい……本当は週一で更新したい